寺島文庫

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2012年第23号より

就職を機に世界と人生を考える若者支援プロジェクト 最新報告

寺島文庫の行う「就職を機に世界と人生を考える若者支援プロジェクト」の最新情報をご報告いたします。

<寺島実郎の新番組スタート>
 2012年12月17日(月)、BS12チャンネル(TwellV)にて新番組「就職を機に世界と人生を考える!BS寺島 月9トーク 」の放送がスタートします。12月17日の初回放送以降、毎週月曜の夜9時より放送されます。本番組は、寺島実郎進行のもと、就職活動に悩む学生だけでなく、その親や企業経営者といった日頃から問題意識を抱えている方々へ世界と人生を考えるヒントを発信します。番組内容は、学生の目指すべきロールモデルとなる各界のトップランナー、日本の産業基盤を支える中堅中小企業経営者と寺島実郎との対談や「寺島実郎の世界観-今、知っておくべきメガトレンド」と題したコーナーの他、新たな就業体験の仕組みであるワークプレイスメントに関するコーナーにより構成されています。
 2012年11月24日(土)には、寺島文庫・文庫Caféみねるばの森を会場とし、村上憲郎氏(前グーグル日本法人名誉会長)を対談ゲストに迎えた収録が行われました。当日は、寺島と村上氏の対談を現役大学生が熱心に聴講し、活発な質疑応答も行われました。
 放送日程は、以下の通り。




寺島実郎の世界観-今、知っておくべきメガトレンド 
第1回テーマ
 「大人とは -カセギとツトメ-」
12月17日(月)、12月24日(月):村上 憲郎 氏(前グーグル日本法人名誉会長)
12月31日(月)、 1月 7日(月):孫  正義 氏(ソフトバンク株式会社代表取締役社長)
  1月14日(月)、 1月21日(月):安藤 忠雄 氏(建築家)

<今後の対談ゲスト(五十音順)>
大里 洋吉 氏 (株式会社アミューズ 代表取締役会長)
小林 達夫 氏 (株式会社コバヤシ 代表取締役社長)
佐々木 直義 氏(オタフクソース株式会社 専務取締役)
澤田 秀雄 氏 (株式会社エイチ・アイ・エス 代表取締役会長)
鈴木  修 氏 (スズキ株式会社 代表取締役会長兼社長)
橋本 晋栄 氏 (株式会社アーク 代表取締役社長)
水野 彌一 氏 (前京都大学アメリカンフットボール部監督)

2012年第22号より

第3期寺島文庫リレー塾 第1回講義が開講しました!
第一回講義 講師:寺島塾長 「2012年秋―世界の構造転換と日本」

 第3期となる寺島文庫リレー塾が、10月3日(水)に日本工業倶楽部会館(東京・千代田区)において開講しました。初回は寺島塾長が、「2012年秋―世界の構造転換と日本」をテーマに講義を行いました。以下、その一部内容をご紹介します。

▼8月にカタールで開催された第37回中東協力会議に講師として参加した。ペルシャ湾を中心に中東地域をドーナツに喩えると、中心に近いカタール、サウジアラビア、UAEは湾岸産油国として繁栄する一方、外円部であるエジプト、チュニジア等の国から揺らぎかかっている。また、イランの核施設に対して国連制裁へと舵をきろうと、米国は躍起になっているが、この状況にイスラエルも焦燥感を募らせている。昨今「イスラエルがイランの核施設攻撃を実行するのではないか」という話題が出るが、イランは巧みに核施設を分散させ地下深く埋め込んでいるため、簡単に封じ込めることはできないだろう。このように今中東に大きな地殻変動が起こっている。米国はシェールガス、シェールオイルの発見に沸き、中東にエネルギー戦略上依存しなくてもいい要素が見え始め、次第にアジアシフトしつつある。スリーマイルの事故以来33年ぶりに原発増設計画を認可するなど、エネルギー戦略も変化し始めている。一方、日本は脱原発を議論にあげているが、東芝や日立はじめ、日本を代表する企業が世界の原子力産業の中核を担っている現実を理解しなければならない。米国と本気で向き合う覚悟と気迫がなければ、日本は脱原発を果たせないだろう。

▼中国が世界に向け英語で発信する国際放送CCTVは、尖閣問題をはじめ領土などをめぐる問題に焦点を当て、中国の立場から日本についての批判を展開し、国際的なイメージアピールを戦略的に図っている。この問題で重要なのは米国の立ち位置である。米国は日中両国に配慮して、あえて中立的立場をとっている。この曖昧作戦ともいうべき構造が日中関係をより複雑なものにしているが、日中関係=米中関係という構図に気付くべきである。7、8年前は経済的ネットワーク上の仮説概念であった「大中華圏」が今や現実となりつつある。大中華圏とは本土の中国だけでなく台湾、シンガポール、香港を含む概念だが、現在中国の経済成長は、これらを包括した相互ネットワーク型の発展を遂げている。さらに経済的連携だけでなく政治的意味も持ち始めた点が重要だ。2008年の北京オリンピック以来、「中華民族」という表現が頻繁に使用され、同朋意識をより深化させる意図も感じられる。 日本人はもっと視界を広げ、近隣諸国には馬鹿にされたくないという程度の矮小なナショナリズムに傾倒するのでなく、21世紀型国際関係への構想力を高めなくてはならない。

2012年第21号より

「寺島実郎監修 就職を機に世界と人生を考えるウェブサイト」特別企画

第1回 澤田 秀雄 氏(株式会社エイチ・アイ・エス代表取締役会長/株式会社ハウステンボス代表取締役社長/澤田ホールディングス代表取締役社長)
第2回 孫  正義 氏(株式会社ソフトバンク代表取締役社長/公益財団法人東日本大震災復興支援財団会長/公益財団法人自然エネルギー財団会長)

 寺島文庫では、厳しい就職環境において将来の方向性を見出せない学生に対し、世界・社会の動きを紹介し、人生を賭けて取り組むべきテーマについて深く考えるヒントを提示するとともに、学生の「企業を見る目」を養い、「未来挑戦型企業(未来を志向し、時代を創っていくという気概を持つ企業)」に選別的にアクセスしていけるシステムの構築を推進することにより、就職ミスマッチを解消することを目的として、「寺島実郎監修 就職を機に世界と人生を考えるウェブサイト」を8月末に開設しました。本ウェブサイトでは、特別企画として、現在世界の舞台で活躍されている学生の目指すべきロールモデルとなる方々と寺島実郎の対談「世界を知る対談」を展開しております。第1回目は「就職を機に世界と人生を考えるワークプレイスメント推進協議会」の委員である澤田秀雄氏、第2回目は同委員である孫正義氏との対談を収録しました。
 
 澤田氏との対談では、経営者としての考え方がどのように培われていったのかについて、ドイツの大学への留学など澤田氏の学生時代の体験が紹介され、バーチャルな情報であればインターネットにより手に入る中で、実際に自分の身体で体験することこそが血となり肉となると述べられました。また、成長する可能性のある中小企業に挑戦する意義やチャレンジ精神の重要性など学生に向けた熱いメッセージにとどまらず、人材を求める企業経営者に向けてのメッセージとして気持ちを入れて欲する必要性について語られました。
 孫氏との対談では、司馬遼太郎の『竜馬がゆく』をきっかけとして決断したアメリカへの留学をはじめ、孫氏がソフトバンクを設立するに至るまでの発想の原点について語られました。また、「情報革命」を基軸に取り組まれるIT分野、エネルギー分野の事業の背景にある問題意識について述べられ、最後にソフトバンクで実施されている「就活インターン」という就業体験の取り組みに触れ、就職ミスマッチの解消における就業体験の重要性について語られました。

※澤田秀雄氏と寺島実郎の対談の模様がTOKYO FM・JFN系全国31FM放送局にて放送中のオンザウェイジャーナルウィークエンド「月刊 寺島実郎の世界」にて、2012年8月25日(土)、26日(日)に放送されました。

 対談の模様は、番組ホームページ(http://www2.jfn.co.jp/owj/tera/)よりポッドキャストにて公開中です。孫正義氏と寺島実郎の対談の模様については、寺島文庫だより、寺島文庫ウェブサイト「みねるばの森」「就職を機に世界と人生を考えるウェブサイト」にてご案内いたします。

2012年第20号より

薬師寺・東京まほろば塾において 寺島実郎が講演を行いました!
2012年7月17日(火) 会場:日本橋三越劇場

 7月17日(火)日本橋三越劇場において薬師寺主催のまほろば塾講演会が開催され、約500人の満場の聴衆を対象に、寺島実郎が特別講演を行いました。
 薬師寺の安田暎胤長老による開会挨拶と、山田法胤管主の御説法に続き、寺島は自身の活動を振り返りながら、仏教や東洋的思想との関わりについて触れ、歴史の根底に流れるユーラシアダイナミズムに言及し、思想史から現代世界認識に至る講演を進めました。
 以下はその概略です。
 私が高校の修学旅行で奈良・京都を旅した際の記録帳が今も寺島文庫に残っている。当時管主だった高田好胤氏の説法を非常に懐かしく振り返りながら、今回講演にあたって薬師寺を訪れた。私自身は経済の現場を慌しく動いてきたが、海外で必ず目に付くのは、禅の教えを世界に説いた鈴木大拙の著作である。世界を舞台に活躍した大拙の境界体験に、私は共感を覚える。東洋的ものの見方の特徴は主客未分化=全体知にある。西洋の合理的思考が科学技術や人間万能主義に陥りがちであることは、震災後余計に胸に響く。
 仏教界で国際人の先駆者を挙げるならば空海だろう。高度な修行を修め帰国した天才的な宗教家であるとともに、土木や医学薬学等の技術を持ち帰った理科系エンジニアとしての空海像もある。彼が東寺に私学の祖に当たる種藝種智院を開設し技術の普及に努めた歴史も、大学学長を務める私にとって感慨深い。空海との比較で際立つのが親鸞の立ち位置だ。自らを愚禿と呼んだ目線の低さは、彼の絶対平等主義という圧倒的思想に繋がる。国家守護の仏教を民衆のものに変えパラダイム転換を起こしたのだ。浄土真宗の説く他力は逆説的な考え方であり、自力を尽くした極限の先に他力がある。
 また、薬師寺の持つしなやかな豊かさは今も般若心経に通じる。古来知的キャンプベースとしての薬師寺が果たしてきた役割は大きい。薬師三尊像台座に彫られた文様は、中国、ペルシャ、ギリシャに通じ、ユーラシアの風を受けて薬師寺が存在していることを強く実感する。ユーラシアをどう捉えるかという課題は、現代の我々にも重要だ。冷戦終焉を経て、今こそ我々は世界を正しく認識しなければならない。元来日本海はユーラシアと日本を密接に繋ぐ内海だった。
  冷戦後の米国一極支配から、多極化、今や無極化という全員参加型秩序の時代に至った我々が立っているのは、世界人口の爆発的増加と、2007年ピークアウト以降成熟化を迎える日本という二重構造である。この世界のダイナミズムの中心にユーラシアがある。大きな構想力を持って近隣諸国との相互理解を深める努力を脈々と続ける動きこそ、21世紀の日本の進路を定めるだろう。

2012年第19号より

就職を機に人生を考える若者支援プロジェクト 本格始動!
2012年6月12日(火) 会場:寺島文庫

 2012年6月12日(火)、寺島文庫にて「就職を機に人生を考えるためのワークプレイスメント推進協議会」第1回が開催され、「就職を機に人生を考えるための若者支援プロジェクト」が本格始動することとなりました。本協議会は、多摩大学学長を務める寺島実郎が就職活動に立ち向かう学生と向き合う中で、かねてより抱いている現在の若者の就職問題を解消すべく設立されました。寺島が委員長を務め、寺島がネットワークする産官学界の有識者の方々に委員として参画いただいています。(本協議会委員は、下記をご参照ください。)

 寺島はかねてより、大企業志向といわれる現在の学生が抱える問題点として、企業、特に中小企業の現実的活動を理解するための情報の不足、企業を判断する力の不足を挙げています。また、単に就業機会が制約されているだけではなく、人生を賭けて挑戦するに値するテーマ・仕事が見出せていないと指摘しています。

 これらの問題点を解消すべく、学生生活の各種支援を軸とする学生情報センターグループを窓口に、学生が将来への展望を持って社会へと出て行くための仕組みの1つとして未来創造型就業体験(ワークプレイスメント)について議論してきました。本協議会では、この未来創造型就業体験(ワークプレイスメント)を推進し、学生が就職に向き合う機会に自身の人生を深く考えることができる場を提供します。第1回協議会では、各委員より就業体験の意義、問題点及び展望について、活発な議論が交わされました。今後は、寺島と各委員及び有識者との対談、イベントの開催や、これらの活動を今夏開設予定のウェブサイト「就職を機に人生を考えるウェブサイト」等での情報発信を通じて、課題解決を進めていきます。

 
<就職を機に人生を考えるためのワークプレイスメント推進協議会>

・委員長  
  寺島 実郎 (一般財団法人日本総合研究所理事長、多摩大学学長、株式会社三井物産戦略研究所会長)
・委員(五十音順・敬称略)
   澤田 秀雄 (株式会社エイチ・アイ・エス 代表取締役会長、ハウステンボス株式会社 代表取締役社長)
  孫   正義 (ソフトバンク株式会社 代表取締役社長、公益財団法人東日本大震災復興支援財団 会長)
  平尾 光司 (信金中央金庫 地域・中小企業研究所所長、学校法人昭和女子大学理事長)
  前田 泰宏 (経済産業省 製造産業局 自動車課長)
  村上 憲郎 (前グーグル日本法人 名誉会長、株式会社村上憲郎事務所 代表取締役)