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2019 WINTER


【 「ふたつのFORTUNE」を読む】


 寺島文庫二階の展示用のガラスケースの中に、やや日に焼けた本書は置かれている。傍らには、本号の表紙となった戦前に発刊されたFORTUNEが二冊。そのうちの一冊(手前の球形の地図に朱色で当時の日本の勢力圏が描かれているもの)が、一九三六年の九月に発刊された日本特集号であり、「ふたつのFORTUNE」のうちの一冊だ。この大判で手に持つとずしりと重い戦前の特集号と、戦争を挟んだ一九九一年に発刊されたFORTUNEの日本特集をそれぞれに読み込み、これからの日米関係への視座を構築するプロセスの中に生まれたのが本書であった。

 著者は本書の終わりにこう述べている。
「いうまでもなく「フォーチュン」とは、財産という意味のほかに「運命」を意味している。一九三六年九月号の『フォーチュン』から一〇年の日米関係にいかなる「運命」が待ちかまえていたのか。それは歴史が雄弁に物語っている。これから一〇年の日米関係にいかなる「運命」が待ちかまえているのか。それは、私たち自身が、創造・選択していくしかない。歴史を知らぬ者に、現代の風景の真の意味はわからない。民族の記憶に基づく英知ある選択へ、私たちは歩み出さなければならない。」
発刊から四半世紀を経ている本書の放つメッセージは重く、未だに色あせていない。