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2011年第9号より

『世界を知る力 日本創生編』刊行記念講演会・サイン会
2011年9月12日(月) 会場:紀伊國屋書店新宿本店・紀伊國屋ホール

  2011年9月12日(月)、紀伊國屋書店新宿本店にて、寺島実郎著書『世界を知る力 日本創生編』(PHP新書)刊行記念として寺島実郎の講演会が開催されました。ホールを埋める350名超の聴講者を前にPHP研究所横田氏の司会の下、講演は行われました。
 冒頭、寺島は講演前日が9.11から10年、3.11から半年となる節目であり、世界のパラダイム転換の中で3.11が起こったことに触れ、注視すべき9.11後の構造変化として、アメリカ流資本主義の破綻、アフガン・イラクでの失敗によるアメリカ財政の悪化、人民元の台頭とドル需要の低下、ドル基軸体制の崩壊等の国際金融情勢について説明しました。その上で、9.11や3.11に対する根拠のない不安と恐怖心がもたらす思考の単純化から脱却し、筋道立った「思考の再起動」が今問われており、高村光太郎の詩(PHP新刊4頁)を引用した上で、冷静に思索の道を立て直す努力の重要性を語りました。また、新刊の執筆自体が日本の進路を模索する思考のプロセスであったと紹介しました。
 
 後半は、第2章「日本人の魂の基軸とは」で親鸞に触れていることについて、3.11後の日本の状況にも似た戦乱の時代を生き、民衆に新しい生き方・思考の基軸を提示した親鸞の生き様を噛み締めることは、日本創生を語る上で意味のあることだと述べました。また、宮城県震災復興会議副議長を務める自身の復興構想を第4章で論じていることに触れ、国民参画型で「復興プロジェクト推進隊」のようなプラットフォームの必要性、さらに、第5章内のエネルギー戦略については国際エネルギー分野で日本の発言力を維持する上で、原子力の技術基盤維持やこの分野へ人材を立ち向かわせることの重要性について論じました。
 最後に、寺島は新刊を通して若者に考えるヒントを与えたいと伝え、講演を締め括りました。講演終了後はサイン会が行われ、本会は盛況のうちに終了しました。

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