寺島文庫

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2011年第10号より

第2期寺島文庫リレー塾スタート
初回講師:寺島実郎塾長 「いま我々が生きる時代をどう認識するか」
2011 年10 月19 日(水)  会場:日本工業倶楽部会館 大会堂
 寺島文庫では、社会人や若い世代に向け時代に対して真剣に向き合っている人の話を体系的に聞き、時代を考えるヒントになる機会を提供することを目的に、昨年より寺島文庫リレー塾をスタートさせました。2 期目となる今年も、国際情勢や政治経済、ジャーナリズムの各分野における精鋭の専門家を招いて、国内外の諸問題を多角的に取り上げる3 カ月間の体系的なカリキュラムとなっています。
 第1 回講師の寺島塾長は、「いま、我々が生きる時代をどう認識するか」というテーマを掲げ、与えられた時間の中で、できるだけフィールドワークを重ね、文献にあたり、自分の頭で考える努力を続けることの大切さを訴えました。寺島自身が物事を立体的にとらえ、熟考するようになったきっかけとして、1963 年放映の大河ドラマ『花の生涯』(舟橋聖一原作)を観た時の体験を語りました。同様の内容は、10 月30 日にTV 番組「NHK アーカイブス」でも放映されました。
  『花の生涯』は、桜田門外の変で果てた大老井伊直弼の生涯を描いたもので、比較的否定的なイメージで捉えられがちな井伊になぜ『花の生涯』という真逆のタイトルをつけたのか。また、本著に書かれた「知性の薄い興奮し易い頭脳が、この国では熱血漢として珍重される。何故、広い世界に目を向けようとしないのか」という井伊の思いをつづった一文に強い衝撃を受け、その時高校生であった自分が人間は物事を単純に考えてはいけないのだと実感し、このことも今の寺島の物の考え方や歴史観につながったという経験を語りました。
 また、震災後の日本がどの道を歩むべきかについて触れ、「米国一極主義の崩壊、覇権なき中東、そして欧州危機といった急激な世界的パラダイム転換に直面し、震災を受けた日本の思考が内向きになるのも理解できるが、今こそ、日本がどの道を選択していくべきか、議論を深めるプロセスこそが重要である」と述べました。