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<ホスピタリティ教育の最前線とインターンシップ ― ローザンヌ・ホテル・スクールの挑戦>

 
 2013年にスイスを訪れた外国人は、804万人の人口を上回る897万人。観光立国スイスは、ホスピタリティ教育にも定評があります。特に1893年創設のローザンヌ・ホテル・スクール(Ecole Hoteliere de Lausanne、EHL)は、1922年創設の米コーネル大学ホテルスクールと比しても長い伝統を誇ります。

 国際オリンピック委員会(IOC)本部で有名なローザンヌに構えるEHLは、徹底したグローバル教育を実施しています。25カ国から集結した100人の教授陣、各大陸の主要都市で開催される学校説明会、英語とフランス語のバイリンガル授業などはその一例です。この結果、2100人の学生の出身国は実に90カ国を数えます。ホスピタリティ教育の中心であるEHLは、学校自体が世界中の優秀な若者を惹きつけるホスピタリティ産業であるともいえます。

 2014年12月には、米ヒューストン大学コンラッド・ヒルトン・カレッジ、香港理工大学ホテル観光学部と提携し、「グローバル・ホスピタリティ・ビジネス」の修士課程を新設しました。学生は、最初の1セメスターをローザンヌで、その後は香港とヒューストンで学びます。この間、各大陸の主要都市で研修を重ねるなど、「3大陸でホスピタリティを学ぶ」との謳い文句にふさわしいプログラムを提供しています。

 EHLの取り組みは、日本も参考とすべきでしょう。特にホスピタリティ教育で欠かせない就業体験に関しては、EHLは最低24週間、フルタイムの報酬付きインターンシップが課せられています。学校の承諾とビザ取得さえ問題がなければ、世界のいかなる場所でも認められます。

 日本でもインターンシップやワークプレイスメント、コーオプ教育が普及しつつあり、大学と企業との提携関係も着実に広がっています。さらに今後は、海外でも就業体験が可能なプログラムを構築することで、内外の学生を惹きつけることが期待されます。