寺島文庫

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<ホスピタリティ業界における大学生の就業体験 ― 米国ディズニーの例より>

 
 2013年、訪日外国人数が初めて1000万人を超えました。政府は東京オリンピック開催年の2020年に2000万人、2030年には3000万人のインバウンド誘致を目指しています。これに伴い、ホスピタリティ・ツーリズム(観光産業)の発展と、その人材育成が急務であることは言うまでもありません。この点を考える上で米国観光産業の代名詞というべきディズニーの取り組みは参考になります。1981年に始まった「ディズニー・カレッジプログラム」(Disney College Program)は、大学生を対象とする就業体験プログラムであり、観光学・ホテル学を専攻する大学生を中心に絶大な人気を誇っています。

 このプログラムには、所属大学が課する条件を満たせば、単位を取得しつつ、フルタイムで半年間程度参加することができます。留学生も参加可能であり、毎年8000人の学生がロサンゼルスとフロリダで、アトラクション、レストラン、販売、ホテル、ライフガードなどおよそ20ポジションのいずれかに従事しています。
 本プログラムが謳うメリットは、「生活」「学び」「稼ぎ」の3点です。「生活」に関しては、安価かつ安全な宿舎が完備されており、住居費は給料から差し引かれます。この点でも、自立した生活を経験できます。「学び」は、就業体験の他にディズニー側が提供するセミナー形式の授業を無料で受講できます。科目も豊富で、「ホスピタリティ・マネージメント論」「企業分析論」「組織リーダー論」「キャリア論」などから選べます。さらに学生は、時給8~12ドルの「稼ぎ」を得ることができ、しかも繁忙期には手当が付きます。

 米国の観光・ホテル学専攻の学生にとって、インターンシップは必修であり、現場での経験を積み重ねることで自らのキャリアを開発します。そして、即戦力をアピールして就職していきます。こうした米国の「キャリア開発型」インターンシップに対して、日本は進路志望先を決める参考としての「キャリアガイダンス型」が主流です。日本の学生が責任を持って仕事・企業に一歩踏み込み、将来に繋がるキャリア開発を行うためには、ワークプレイスメントやコーオプ教育のさらなる普及が必要でしょう。