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2012年第21号より

「寺島実郎監修 就職を機に世界と人生を考えるウェブサイト」特別企画

第1回 澤田 秀雄 氏(株式会社エイチ・アイ・エス代表取締役会長/株式会社ハウステンボス代表取締役社長/澤田ホールディングス代表取締役社長)
第2回 孫  正義 氏(株式会社ソフトバンク代表取締役社長/公益財団法人東日本大震災復興支援財団会長/公益財団法人自然エネルギー財団会長)

 寺島文庫では、厳しい就職環境において将来の方向性を見出せない学生に対し、世界・社会の動きを紹介し、人生を賭けて取り組むべきテーマについて深く考えるヒントを提示するとともに、学生の「企業を見る目」を養い、「未来挑戦型企業(未来を志向し、時代を創っていくという気概を持つ企業)」に選別的にアクセスしていけるシステムの構築を推進することにより、就職ミスマッチを解消することを目的として、「寺島実郎監修 就職を機に世界と人生を考えるウェブサイト」を8月末に開設しました。本ウェブサイトでは、特別企画として、現在世界の舞台で活躍されている学生の目指すべきロールモデルとなる方々と寺島実郎の対談「世界を知る対談」を展開しております。第1回目は「就職を機に世界と人生を考えるワークプレイスメント推進協議会」の委員である澤田秀雄氏、第2回目は同委員である孫正義氏との対談を収録しました。
 
 澤田氏との対談では、経営者としての考え方がどのように培われていったのかについて、ドイツの大学への留学など澤田氏の学生時代の体験が紹介され、バーチャルな情報であればインターネットにより手に入る中で、実際に自分の身体で体験することこそが血となり肉となると述べられました。また、成長する可能性のある中小企業に挑戦する意義やチャレンジ精神の重要性など学生に向けた熱いメッセージにとどまらず、人材を求める企業経営者に向けてのメッセージとして気持ちを入れて欲する必要性について語られました。
 孫氏との対談では、司馬遼太郎の『竜馬がゆく』をきっかけとして決断したアメリカへの留学をはじめ、孫氏がソフトバンクを設立するに至るまでの発想の原点について語られました。また、「情報革命」を基軸に取り組まれるIT分野、エネルギー分野の事業の背景にある問題意識について述べられ、最後にソフトバンクで実施されている「就活インターン」という就業体験の取り組みに触れ、就職ミスマッチの解消における就業体験の重要性について語られました。

※澤田秀雄氏と寺島実郎の対談の模様がTOKYO FM・JFN系全国31FM放送局にて放送中のオンザウェイジャーナルウィークエンド「月刊 寺島実郎の世界」にて、2012年8月25日(土)、26日(日)に放送されました。

 対談の模様は、番組ホームページ(http://www2.jfn.co.jp/owj/tera/)よりポッドキャストにて公開中です。孫正義氏と寺島実郎の対談の模様については、寺島文庫だより、寺島文庫ウェブサイト「みねるばの森」「就職を機に世界と人生を考えるウェブサイト」にてご案内いたします。

2012年第20号より

薬師寺・東京まほろば塾において 寺島実郎が講演を行いました!
2012年7月17日(火) 会場:日本橋三越劇場

 7月17日(火)日本橋三越劇場において薬師寺主催のまほろば塾講演会が開催され、約500人の満場の聴衆を対象に、寺島実郎が特別講演を行いました。
 薬師寺の安田暎胤長老による開会挨拶と、山田法胤管主の御説法に続き、寺島は自身の活動を振り返りながら、仏教や東洋的思想との関わりについて触れ、歴史の根底に流れるユーラシアダイナミズムに言及し、思想史から現代世界認識に至る講演を進めました。
 以下はその概略です。
 私が高校の修学旅行で奈良・京都を旅した際の記録帳が今も寺島文庫に残っている。当時管主だった高田好胤氏の説法を非常に懐かしく振り返りながら、今回講演にあたって薬師寺を訪れた。私自身は経済の現場を慌しく動いてきたが、海外で必ず目に付くのは、禅の教えを世界に説いた鈴木大拙の著作である。世界を舞台に活躍した大拙の境界体験に、私は共感を覚える。東洋的ものの見方の特徴は主客未分化=全体知にある。西洋の合理的思考が科学技術や人間万能主義に陥りがちであることは、震災後余計に胸に響く。
 仏教界で国際人の先駆者を挙げるならば空海だろう。高度な修行を修め帰国した天才的な宗教家であるとともに、土木や医学薬学等の技術を持ち帰った理科系エンジニアとしての空海像もある。彼が東寺に私学の祖に当たる種藝種智院を開設し技術の普及に努めた歴史も、大学学長を務める私にとって感慨深い。空海との比較で際立つのが親鸞の立ち位置だ。自らを愚禿と呼んだ目線の低さは、彼の絶対平等主義という圧倒的思想に繋がる。国家守護の仏教を民衆のものに変えパラダイム転換を起こしたのだ。浄土真宗の説く他力は逆説的な考え方であり、自力を尽くした極限の先に他力がある。
 また、薬師寺の持つしなやかな豊かさは今も般若心経に通じる。古来知的キャンプベースとしての薬師寺が果たしてきた役割は大きい。薬師三尊像台座に彫られた文様は、中国、ペルシャ、ギリシャに通じ、ユーラシアの風を受けて薬師寺が存在していることを強く実感する。ユーラシアをどう捉えるかという課題は、現代の我々にも重要だ。冷戦終焉を経て、今こそ我々は世界を正しく認識しなければならない。元来日本海はユーラシアと日本を密接に繋ぐ内海だった。
  冷戦後の米国一極支配から、多極化、今や無極化という全員参加型秩序の時代に至った我々が立っているのは、世界人口の爆発的増加と、2007年ピークアウト以降成熟化を迎える日本という二重構造である。この世界のダイナミズムの中心にユーラシアがある。大きな構想力を持って近隣諸国との相互理解を深める努力を脈々と続ける動きこそ、21世紀の日本の進路を定めるだろう。

2012年第19号より

就職を機に人生を考える若者支援プロジェクト 本格始動!
2012年6月12日(火) 会場:寺島文庫

 2012年6月12日(火)、寺島文庫にて「就職を機に人生を考えるためのワークプレイスメント推進協議会」第1回が開催され、「就職を機に人生を考えるための若者支援プロジェクト」が本格始動することとなりました。本協議会は、多摩大学学長を務める寺島実郎が就職活動に立ち向かう学生と向き合う中で、かねてより抱いている現在の若者の就職問題を解消すべく設立されました。寺島が委員長を務め、寺島がネットワークする産官学界の有識者の方々に委員として参画いただいています。(本協議会委員は、下記をご参照ください。)

 寺島はかねてより、大企業志向といわれる現在の学生が抱える問題点として、企業、特に中小企業の現実的活動を理解するための情報の不足、企業を判断する力の不足を挙げています。また、単に就業機会が制約されているだけではなく、人生を賭けて挑戦するに値するテーマ・仕事が見出せていないと指摘しています。

 これらの問題点を解消すべく、学生生活の各種支援を軸とする学生情報センターグループを窓口に、学生が将来への展望を持って社会へと出て行くための仕組みの1つとして未来創造型就業体験(ワークプレイスメント)について議論してきました。本協議会では、この未来創造型就業体験(ワークプレイスメント)を推進し、学生が就職に向き合う機会に自身の人生を深く考えることができる場を提供します。第1回協議会では、各委員より就業体験の意義、問題点及び展望について、活発な議論が交わされました。今後は、寺島と各委員及び有識者との対談、イベントの開催や、これらの活動を今夏開設予定のウェブサイト「就職を機に人生を考えるウェブサイト」等での情報発信を通じて、課題解決を進めていきます。

 
<就職を機に人生を考えるためのワークプレイスメント推進協議会>

・委員長  
  寺島 実郎 (一般財団法人日本総合研究所理事長、多摩大学学長、株式会社三井物産戦略研究所会長)
・委員(五十音順・敬称略)
   澤田 秀雄 (株式会社エイチ・アイ・エス 代表取締役会長、ハウステンボス株式会社 代表取締役社長)
  孫   正義 (ソフトバンク株式会社 代表取締役社長、公益財団法人東日本大震災復興支援財団 会長)
  平尾 光司 (信金中央金庫 地域・中小企業研究所所長、学校法人昭和女子大学理事長)
  前田 泰宏 (経済産業省 製造産業局 自動車課長)
  村上 憲郎 (前グーグル日本法人 名誉会長、株式会社村上憲郎事務所 代表取締役)

2012年第18号より


第1期寺島実郎戦略経営塾・第6回講義及び第1期総括
講師:寺島 実郎 塾長
2012年5月29日(火) 会場:寺島文庫ビル3階

                                       
 2012年5月29日(火)、寺島文庫にて第1期寺島実郎戦略経営塾・第6回講義(最終講義)が行われ、寺島実郎塾長が講師をつとめました。
 冒頭、寺島塾長は資料集「寺島実郎の時代認識」内のデータを共有し、「冷戦後の20年から見えてくるもの」として、1990年から2010年における不動産価格推移(市街地価格指数 商業地:75%下落、住宅地:48%下落)、日経平均株価推移(29,000円台→10,000円台(現在:8,700円前後))、また、勤労者家計可処分所得の下落(2000年:473,000円から2011年:423,000円)、労働人口6,272万人の34%にあたる2,165万人が収入200万円以下である現状を踏まえ、資産家の没落、特に地方における消費、投資の低迷について説明しました。さらに、労働人口の34%が収入200万円以下であるのに対し、生活保護受給者は住宅扶助と医療費を含め約300万円を受給している分配構造の歪みを指摘しました。


<寺島塾長が参画しているプロジェクトについて>
 寺島塾長が現在参画しているプロジェクトとして、2027年に東京・名古屋間開通予定のリニア中央新幹線を挙げ、最終的に東京・大阪間約1時間、三大都市圏7,000万人ゾーンが1日生活圏となること、また、震災後の教訓として、最先端の医療設備を備え、被災地に直接アクセス可能な2万t級の医療船を太平洋側と日本海側に1隻ずつ配置する医療船構想について言及しました。
さらに、川崎市、横浜市、神奈川県が推進する「京浜臨海部ライフイノベーション国際戦略総合特区」については、シンボル的な先端的医療の国際機関、例えば、世界最高の医療機関といわれるアメリカのNational Institutes of Health(NIH)のような共同研究所やアジアの高度医療人材を養成する教育機関の必要性に触れ、先端的なR&D(研究開発)センター、教育機関、医療船をパッケージにした構想が、世界の医療特区に対抗するためには不可欠だと提言しました。

<現下のエネルギー問題について>
 現政権の歪んだ政策について、国民に対しては脱原発を語る一方で、2012年5月の日米共同宣言では日米原子力協定の強化を挙げ、また、世界のエネルギー状況については日本製鋼所が原子炉格納容器8割の世界シェアを持ち、東芝のウエスチングハウス買収や日立とGEのジョイントベンチャーが誕生するなど、日本が世界の原子力産業の中核となっていることから、世界のエネルギー動向と日本の認識に乖離があることを指摘しました。また、自身が繰り返し強調していることとして、原子力技術基盤の蓄積・維持に触れ、中国、韓国、台湾が原子力発電所を増設し、2030年には東アジアに100基以上の原発設置が見込まれる状況を踏まえ、東アジアの原子力発電所において福島のような事故が発生した場合に日本が貢献していくために、また、発言力の上でも高い技術基盤の蓄積・維持が不可欠であると強調しました。
次に、再生可能エネルギーについては、バイオマス技術が産業構造や地域の経済構造を変える意味でポテンシャルが高く、食物と競合しない海藻、間伐材、あるいは都市ごみからの植物由来バイオリファイナリーを通じたバイオケミカルの重要性に言及しました。

<米国出張報告>
 最後に、自身の米国出張での最新情報を塾生に共有し、現在の米国メディアにて「America is Winning」と言われていることの背景に触れました。シェールオイルにシフトしたアメリカの1日当り石油生産量がサウジアラビア並みの900万バーレルに迫り、2011年の輸出品目トップもエネルギーとなり、シェールガスインパクトも含めてアメリカがエネルギー戦略上、世界的に優位に立ちつつあること、さらに、海外からアメリカへの来訪者が6,200万人を超えたこと(2011年の日本への海外来訪者は601万人でアメリカの10分の1)をアメリカをポジティブに捉える背景に挙げ、世界が新たな変革の時期を迎えていると語り講義を締め括りました。
その後の懇親会は会場を文庫Caféみねるばの森に移し、塾生全員からプレゼンが行われ、寺島塾長との交流、塾生間の相互交流、寺島文庫客員研究員との交流が着実に行われている状況が紹介され、第1期寺島実郎戦略経営塾は終了しました。

 

~第1期寺島実郎戦略経営塾を終えて~ 事務局:山下 隆・中島 悦嗣

 昨年7月より開講した第1期寺島実郎戦略経営塾は、寺島塾長が現在も向き合っている中小企業経営者・企業幹部育成の取り組みを至近距離で行う研究会として発足しました。寺島文庫主催として初の試みとなりましたが、寺島塾長監修の下、ご参加頂きました塾生の皆様、ご登壇頂いた特別講師の方々のご指導・ご協力を賜り、無事に開催することができました。本HPをお借りして事務局一同心より感謝申し上げます。本塾第2期につきましても多くのご要望を頂き、9月に開講致します。更なる充実を図るべく事務局一同一層努力してまいります。


<第2期寺島実郎戦略経営塾へのお問合せ>
 寺島実郎戦略経営塾・事務局(担当:山下、中島)
 電 話:03-5215-2951 (電話受付時間 平日10:00-18:00)


 

2012年第17号より

寺島文庫留学生支援
東アジアの将来をまじめに考える会 「東アジア共同体の展望と障害」
2012年4月21日(土) 会場:文庫Caféみねるばの森

  2012年4月21日(土)文庫Caféみねるばの森にて国際交流基金所属の丁寧氏(中国出身)を中心とした有志(中国人留学生、日本人大学生、大学教授等)が集い、「東アジアの将来をまじめに考える会」が開催されました。本会では、「東アジア共同体の展望と障害」と題して寺島実郎の講演も行われました。文部科学省・日中韓大学間交流・連携推進会議委員、同省・大学の世界展開力強化事業準備会合委員を務める寺島は、日中韓のみならず東南アジアを含めたキャンパスアジア構想(単位相互認定)について欧州のエラスムス構想、EU誕生の経緯を例に挙げ、相互不信が存在するアジアでも段階的接近法として若者の交流が不可欠であり、「東アジア共同体」と唱えるだけでなく、連携し実利を積み上げていくことの重要性を語りました。

  また、経済面ではアジアのGDPは世界GDPの3割に迫り、インドの経済成長もあり近い将来5割を超す。例えば中国の自動車販売台数は1,800万台を超え、インドも300万台を超え、近い将来800万台を超える。インドの人口も10年後には中国を抜く。つまり、ビジネスモデルにおいてもアジア諸国との連携・相関が不可欠であり、今の若者はどのような職業に就いても、モノ、ヒト、カネの動きにおいて中国やインドをはじめとしたアジアダイナミズムと向き合わざるを得ないと語りました。

   後半は人流面のアジアダイナミズムを日本がいかに取り込むかについて、「中国の海外渡航者数は2011年で7,025万人(内5,000万人は香港、マカオへ渡航)に達しており、衰退が予想された香港経済は本土の中国人海外渡航者の消費により支えられている。日本は観光立国を掲げ、訪日外国人3,000万人を目指しているが、その8割は中国人を中心としたアジア人である。少子高齢化の日本は訪日外国人・移動人口を増やすことが必要で、ただ秋葉原や銀座の買物客、温泉地の観光客を取り込むのではなく、パリにIEAやアラブ世界研究所等の人が集積する「装置」があるように、日本も人が「行かねばならない装置」を創り、情報価値を求めた問題意識と熱意のある観光客を取り込む必要がある。」と語りました。

   講義後は、中国人留学生・メディア関係者との東アジア連携への実現に向けた活発な質疑応答が行われ、最後に、日本における留学生の就職支援・交流支援を軸とした寺島文庫のNPO法人設立構想が寺島より紹介され、講義は終了しました。