Saturday, Feb 25th

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2016 WINTER  Vol.6


【日総研会長室だより】

地方公共団体から(一財)日本総合研究所会長室にて研修中の3名が、「地域の魅力」をキーワードに郷土の可能性について論じます。


◆まちなか登山と温泉  
 鶴見 幸城(岐阜市役所)

 
 岐阜市の中心部には気軽に登山が楽しめる「金華山」と「百々ヶ峰」があります。頂に岐阜城を冠し、眼下に長良川を見下ろす岐阜市のシンボル「金華山」。その名は、初夏に満開となるツブラジイが山を黄金色に染める様子に由来していると言われています。江戸時代以降、幕府や国に保護されていたたため9割以上が天然林で、今もリスやタヌキなど野生動物や野鳥が多く生息しています。
 標高329mの山頂へはロープウェーより登山がおすすめ。四季を肌で感じながら約1時間で頂上へ。450年前に織田信長公も同じ景色を眺めたと思うと、感慨深い気持ちになります。


 長良川を挟んで位置する「百々ヶ峰」は、空気が澄んだ日にはJR名古屋駅のツインタワーが一望できます。登山のあとは、長良川温泉にゆったりと浸かれば、疲れも吹き飛びます。

 

 

  

◆メディアアーツ都市、札幌の可能性  金田 健一郎(札幌市役所)

 
 札幌市は、2013年にユネスコにより創設された創造都市ネットワークの「メディアアーツ都市」として認定され、札幌のクリエイティビティは世界中から注目されています
。今年10月には、映画・音楽・IT(先端技術)の三分野及びその複合領域において、コンペティション、カンファレンス、ワークショップなど、産業、学術、文化がクロスする、最先端なクリエイティブビジネスの国際コンベンション「No Maps(ノーマップス)」が開催されました。

 分野間の連携を通じて生み出される「新しい領域」「未知の領域」を真っ白な地図に見立て、その可能性をマッピングするというテーマのもと、コンテンツビジネスの活性化とグローバル展開の加速化を柱として、若手育成や文化創出も見据えた広がりのある事業となっています。今年はプレ開催、2017年に第1回目の本開催を予定しており、今後も札幌を「世界屈指のイノベーティブなまち」にすることを目指して、産学官一体で盛り上げていきます。

 

 

◆冬の夜空を焦がし彩る大輪の花  猿田 達彦(埼玉県庁)

 

 日本の「三大美祭り」に数えられる祭りが埼玉県にあります。京都の「祇園祭」、岐阜の「高山祭」と並ぶその祭りは、「秩父夜祭」です。毎年12月1日から6日まで開催されます。この祭りの醍醐味は、冬の夜の暗い冷気に、祭りの熱気が入り混じる、独特の雰囲気と高揚感です。夜6時半頃、秩父神社から屋台(山車)が次々と現れ、囃子の調べに乗って曳かれてゆきます。夕闇を万灯で照らしながら進む絢爛かつ荘厳な姿に、見る人々は自然と心が躍り、曳行の終盤、勾配のきつい「団子坂」を駆け上る時、祭りは最高潮を迎えます。

 そして山車の頭上には七千発もの花火が打ち上げられ、冬の夜空を彩ります。この感動的な風景は、12月3日の大祭に見ることができます。池袋駅から特急レッドアロー号で80分ほど、是非一度お越しください。 

2016 SPRING Vol.4


三重県主催 「MIE戦略経営塾」
 
 
 2016年2月22日(月)、三重県のNEMU HOTEL & RESORTにおいて、「第2期MIE戦略経営塾」の最終講義が開催されました。

 冒頭、鈴木英敬三重県知事のご挨拶と、副塾長を務める西村訓弘三重大学副学長から趣旨説明が行われました。そして、寺島塾長は「2016年への視座」をテーマに掲げ、時代認識の進化やプロジェクト・エンジニアリングの重要性等について講義を行いました。

 今回の講義には、東京戦略経営塾の塾生12名が参画し、MIE戦略経営塾の塾生と大いに交流を深めました。さらに、翌23日(火)には三重県の産業の魅力を巡る寺島文庫主催の「三重インダストリアルツアー」にも参画しました。三重インダストリアルツアーでは、松阪市内の国内最大級の植物工場、半導体メモリーを製造する大手企業の四日市工場や、四日市化学コンビナートを立地として化学製品の製造・研究開発を行う大手企業の四日市事業所を訪れました。三重県の先端的なプロジェクトを巡り、その産業力を目の当たりにするとともに、経営者である塾生のお一人おひとりにとって多くの刺激を受ける機会となりました。

 

2015 WINTER Vol.3


「観光立国」から地方創生を考える

多様なツーリズムによる地域創生の実現(『新・観光立国論』資料編より)
北海道におけるインダストリアルツーリズム

 
 昨今の地方創生論議のなかでも、地域資源を活用して地域の活性化を図るためには、日本の魅力・地方の魅力を活かした観光が大きな飛躍の要素として位置づけられています。前頁でも言及し、本年三月に視察にも伺った苫小牧東部地域(以下、「苫東」)を例に、インダストリアルツーリズムの可能性について紹介します。

 苫東は東西九㎞、南北一二㎞、開発面積一〇七〇〇haに及ぶ日本最大級の大規模工業開発地区です。年間一九〇〇万人を超える旅客数を誇る新千歳空港、北海道の海の玄関口としての役割を果たす苫小牧港から近く、高速道路とも近接し、新千歳空港まで一五分、札幌まで六〇分と交通インフラも整備されています。このような広大な土地や恵まれた立地、敷地内に整備された強固なエネルギーインフラ基盤などを活かし、自動車関連産業や石油備蓄基地などが立地しているほか、最近では先端技術を活用した新たな産業立地が進められています。

●植物工場 

 

 苫東では、ICT技術を活用し、光や温度、養分などの栽培環境をコンピューター制御で最適化する植物工場を誘致、いちごやトマト、ベビーリーフなどの栽培を行っています。季節や天候に左右されず、一年を通して高品質な作物の生産が可能であり、最先端の省エネ技術等と組み合わせることによって、最先端のスマートアグリシステムを推進するとともに、既に多くの視察を受け入れており、インダストリアルツーリズムを展開し始めています。

 





●メガソーラー

 
 冷涼小雪で豊富な日射量を有する気候条件と広大な土地を活用し、苫東ではメガソーラーの集積が進んでいます。シャープによる第1、第2太陽光発電所が稼働しているほか、12月1日にはソフトバンクグループのSBエナジーと三井物産の出資により、国内最大級のメガソーラー(出力規模:約111MW、年間予想発電量:一般家庭約3万世帯分)が運転を開始しました。かつて石炭によって日本のエネルギーを支えた北海道には、広大な土地や自然資源を背景に、太陽光、風力、地熱、小水力など、多様な再生可能エネルギーが賦存しています。このようなエネルギー分野においても先端技術を活用することによって、インダストリアルツーリズムの可能性がさらに広がります。 

  

 本書資料編では、各地域のポテンシャルに着目し、「真の統合型リゾート」の形成による地域創生に向けた多様なツーリズム構想を例示しています。観光戦略を考えるにあたり、地域の誇りに対して創造的に付加価値をつけていくという視点が極めて重要であり、私たちが暮らしている地域のポテンシャルを改めて見つめ直し、「真の統合型リゾート」を構想するきっかけとして『新・観光立国論』が活用されれば、この上ない喜びです。

2015 AUTUMN Vol.2


札幌遠友夜学校と
新渡戸博士の理念を現在に


一般社団法人 新渡戸稲造と札幌遠友夜学校を考える会
代表理事 秋山 孝二 氏

 
 私どもの会は、新渡戸稲造博士生誕一五〇年を記念して、二〇一二年一二月に、札幌遠友夜学校跡地近くで行われた講演会を契機に設立されました。
その趣旨は、新渡戸博士の国際性に裏付けられた高邁な思想と教養、一八九四年に、博士ご夫妻によって設立され五〇年間活動した「札幌遠友夜学校」の教育理念を、多くの方々とともに幅広く顕彰し、この跡地の放つメッセージを国内外に発信し、札幌市民として一条の光を灯す責務を感じたからです。第一に無償のボランティア精神による実践、第二に国際平和の実現、第三に『BUSHIDO』に基づく国際人の育成とアントレプレナーシップの涵養です。このような活動の場・拠点として、私たちは「札幌遠友夜学校記念館」(仮称)を建設したいと考えています。


 今現在検討されている記念館での展示以外の事業概要は以下の通りです。(1)市民向け教養講座(ランゲージ・スクール、『武士道』・『農業本論』・『修養』他の読書会等)、(2)教育プログラム(不登校児童・生徒の学びの場、障がい者・女性の会等)、(3)国際交流事業(国際平和、国際社会のリーダー育成、諸外国教育機関との連携)、(4)大学等のアウトリーチ活動、他です。

 記念館に先立ち事業の担い手の軸として、寺島実郎さんに塾長をお引き受け頂いている「遠友・未来塾(仮称)」をこの秋に立ち上げ、さらに「事業推進チーム」を形成し、構成メンバーは「考える会」役員・運営委員、東地区町内会役員、北海道大学の教職員及び学生、市民ボランティアのほか幅広い人材の参画を促して、二一世紀的な課題解決プログラムを充実して参ります。 

 この跡地は札幌市により、二〇一四年一二月に「新渡戸稲造記念公園」として造成され、私どもはこの公園の北東部(現在は更地)に、記念館建設を計画しています。これには、諸内部設備及び機器類を含めおよそ一億七千万円の資金が必要と見込まれており、現在は幅広い市民・企業・団体からの寄付を募っています。

 一方、この間私たちは、ここの園銘板、二つの格言板(メモリアルウォール)、この土地とブロンズ像に関する説明板の設置に際して、市担当部署と意見交換・助言を続けてきました。記念館を思い描きながら、現地で公園内ブロンズ像他をご覧頂けると幸いです。


<一般社団法人 新渡戸稲造と札幌遠友夜学校を考える会>
 http://nitobe-enyu.org/

2015 SUMMER Vol.1

地方公共団体から日総研理事長室にて研修中の3名が、

「地域の観光」をキーワードに郷土の魅力と可能性について論じます。


◆信長流ホスピタリティ (岐阜市役所より)

  
 四月に岐阜市から参りました。初の東京勤務ですが、入庁二〇年目という節目の年でもあり、多くを吸収できるよう一生懸命勉強して参ります。
 さて、岐阜城一帯が『「信長公のおもてなし」が息づく戦国城下町・岐阜』として文化庁から日本遺産に認定されました。岐阜市の金華山の頂上には織田信長の天下統一拠点・岐阜城があります。麓には長良川が流れ、漆黒の闇の中でかがり火だけを頼りに行われる伝統漁法「長良川の鵜飼」が行われています。(毎年五月一一日~一〇月一五日)。信長は、天下取りに邁進する一方、城内に巨大な庭園や宮殿を造り、自然を活かした眺望や鵜飼により有力者や賓客を接待し、仲間を増やしました。景観や鵜飼文化に価値を見出し、軍事施設である城を中心に「魅せる」という独創性を加え、最高のおもてなし空間としてまとめ上げたのです。冷徹非道、戦上手等のイメージがある信長が、岐阜城や城下で行ったのは、意外にも手厚いおもてなしだったのは驚きです。そんな信長から受け継がれ、今も息づくおもてなし文化を味わいに、岐阜市に足を運びませんか。

 


◆2026年冬季オリンピック・パラリンピックにむけて (札幌市役所より)

 昨年から参画させていただいた研究テーマの一つが「観光」です。真の観光立国実現にはサービス産業の高度化が必要であるとの考えの下、世界各国の先進事例の調査研究等を通じて広い視野から知恵と構想力で施策展開を図る重要性を自治体職員として日々実感しています。
 札幌市は、今から四三年前の一九七二年がまちづくりの大きな転換点となりました。一つは政令指定都市への移行、そしてもう一つがアジア初の冬季オリンピック開催でした。オリンピックをきっかけに、地下鉄や高速道路など都市インフラが整備されました。また、札幌の名を世界中に広め、都市の国際化に貢献しました。
 しかし、今まさに新たな転換点を迎えようとしています。一九四万人都市に成長した札幌も、人口減少・異次元の高齢化社会に突入しつつあります。このような中、市民が夢を共有して時代の転換期を乗り越え、札幌の未来を創り上げていくため、昨年一一月に「2026年冬季オリンピック・パラリンピック」の招致に取り組むことを表明しました。将来にわたり魅力的なまちづくりを進めるためにも、多くの方々のご指導を賜りながら日々研鑽を重ねてまいります。

 
 

◆四日市市―インダストリアル・ツーリズムの可能性 (三重県庁より)
 
 三年目の研修を迎えます。昨年にはシンガポールの統合型リゾートを視察するなど、骨太な観光立国形成にむけて研究を深めています。今回は、私の地元・三重県四日市市を事例に、新たなツーリズムのポテンシャルを紹介いたします。

 四日市市は、三重県北部に位置し、日本随一の工業地帯である中京工業地帯の中核を占めています。同市は、昭和三〇年代に形成された我が国初の石油化学コンビナートがあり、産業力によって日本経済を牽引しています。かつては、大気汚染や水質汚染等により「四日市ぜんそく」に直面しましたが、市民、企業や行政等の努力で都市環境が改善され、今や産学官民で環境やエネルギーに関する意欲的な取組みを推進するエコでクリーンな産業都市に変貌しつつあります。また、スマートフォンやデータセンターなどに用いる「NAND型フラッシュメモリ」を生産する東芝の拠点を擁しており、世界シェアが三割超と世界のトップ争いを繰り広げているなど、次世代ICT 分野において同市は重要な役割を果たすことが想定されます。
 四日市市が経験してきた公害の克服とエコでクリーンな産業都市の実現、先端的プロジェクト等のコンテンツは、環境課題の解決や経済成長を促すプロジェクトを求めるアジア新興国の行政関係者やビジネスパーソン等にとって価値あるモデルとなりえます。このため、四日市市は「インダストリアルツーリズム」という新たなツーリズムを本格的に展開することにより交流人口を増加させる大きなポテンシャルを有していると言えるでしょう。